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過去に手縫いでオールソール交換をご依頼頂いた靴で、またオールソールの交換の御依頼と共にアッパーの裂けの修理を御願いしたいとメールでご相談を頂きました。

その際、この画像を一緒に御送り頂きました。
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この靴は、上の図の様なウェルトの無いノルヴェジェーゼ製法です。その為、出し縫いはアッパに直接かかるステッチダウン製法に近い作りです。このアッパーにかかる出し縫いが、修理による度重なる縫いに負けて裂け出していました。

基本的には同じ形に戻す修理は不可能な状態にまで来ております。

しかし、その他アッパー、ライニングは度重なる修理を経たにも関わらず良好なので、何とかならない物かと考えた挙げ句、ダメージの有る部分を隠しながらノルヴェジェーゼの雰囲気を残す良案が浮かびました。

それは、ウェルトを介したノルウェィージャンウェルテッド製法にしてしまうと言う事です。ウェルトの下にダメージのある部分は隠れ、スクイ縫いに麻糸を絡げながらノルウェィージャン特有の意匠を凝らし元の雰囲気を醸し出すと言う修理です。
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と、言う事でウェルトを作る所からです。これは切り出したまんまのウェルトです。
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これを加工、成型しい様に水でふやかせます。
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そして、程よい厚みにする為に漉きました。
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そして、折り曲げ線を入れてウェルトをL字に曲げてウェルトの完成です。
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そして、先ほどできたウェルトを靴に縫い付けて行きます。その際、スクイ縫いの糸に2本の麻糸を絡げて行きます。

久しぶりの作業で、この麻糸がもつれて厄介でしたが、途中から勘を取り戻し楽しく仕事できました。
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そして、縫い上がり。このチェーンステッチの様な意匠がこの製法の最大の特徴です。
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後は、ミッドソールを貼って。
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本底を貼って、出し縫いをかければ完成は間近です。
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ヒールを積み上げて、コバや縫い糸に色を入れました。この製法の場合、特徴的なスクイ縫いにあえて糸に色を入れないで仕上げる事も多々御座いますが、元々が全て黒でしたので同様に黒塗りしました。

この特徴的なステッチに色を入れないのは、仕上がった時にアクセントになるので良いのですが、履くと薄汚れて来て見窄らしくなるので始めから色を入れておくと後々が楽です。
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最後にウェルトの上面に凹凸の模様を入れて完成です。
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最後にアッパーを磨き上げれば、元からそうであった様に、元の雰囲気を残しつつ完全復活です。手間隙かけるてメンテナンスすれば、手製靴は永年履けると言う事を証明してくれました。

以上、今回の修理は¥26300也。
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