
明けましておめでとうございます。
本年も旧年同様よろしくお願い致します。
本年1足目の特殊な靴の修理です。
ポールセンスコーンのビスポークです。

ブラインドウェルトと言って、ウェルトが付いて出し縫いもかかっているけれどもコバの出巾はほぼ無く、マッケイ製法の様な華奢な仕上がりのハンドソーンウェルテッド製法です。

しかし、残念な事に土踏まずのアッパーが口を開いています。
一瞬、スクイ縫いが切れており、靴をばらしてスクイ縫いを縫い直し、オールソール交換かなと思いました。
勿論、手製靴ですのでそうすれば完全に元通りになります。
しかし、出し縫いまで全て手縫いで縫う他、ブラインドウェルトの仕上げをする事ができないので、修理費用はかなり高額になります。

そこで、何とか靴をばらす事無く見た目を極力変えないで、そして、今後オールソールのタイミングで理想的な修理ができる状態を保つ修理方法は無いだろうかと靴を前に色々と考えました。
土踏まずのウェルトを縫い付ける位置が中底のエッジからかなり奥に有る為、スクイ縫いに影響を与えずにマッケイ縫いをかける事ができる事を思いつきました。


と、言う事で、ヴェヴェルドウェストで伏せられたソールを起こし、その中にマッケイ縫いが隠れる様に手縫いマッケイです。

最後は、起こしたフマズを元に戻して、アッパーに沿わせれば何も無かった様に復活です。
そして、何故この様な事になったかと言うと、ここからは推測ですが、恐らく仮縫いをウェルトを縫い付けた後に行い、恐らくきつかったのでしょう。
きつかった分を巾出ししたため、アッパーの余裕が足りず、すくい縫いがかからなかったのではなかろうかと考えております。
以上、今回の修理は¥4500也。
もし、靴をばらし、アッパーを釣り直し、スクイ縫いを縫い直し、オールソールをフルハンドでブラインドウェルトで仕上げるとなると¥35000〜となります。
原因、素材、状態、製法....etc様々な方向から見て、修理方法をご提案させて頂きます。