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こちらは、ひと昔前流行ったこれぞステファノブランキーニといった作りの靴です。
しかし、製造から時間が経てば劣化もします。
底縫いの麻の出し糸が劣化して、屈強な靴底に負けてぶちぶちと切れてぱっくり口が開いています。
通常なら、この外側の出し糸だけをカットすればソールが外れ、新しいソールを貼って、そこ縫いをすると言う作業で、複雑な作りに見えて、普通のオールソール交換と同じです。
しかし、内側の出し糸まで切れています。ですので、まず内側の出しを縫いなおす必要があります。
縫いなおしにあたり、古い糸は全て抜きました。
写真左側が糸を抜いた状態、右側が抜く前です。麻糸が劣化してボソボソで抜き難く結構厄介な作業でした。
そして、やっと縫い出せます。しかし、アッパーの革のきわきわに出し抜いがかかっているため機械で縫う事は不可能です。
ですので、一穴づつ手で拾いながら縫い進めていきます。
そして、縫いあがり。以前と同様の雰囲気に戻りました。
そして、今回は時代を感じさせる誇張し過ぎな程のコバの張り出しを自然な形に整え直しました。
写真右側のつま先やふまずの敢えて作ったコバの角を落とし写真左側の様な控えめなコバに仕立てなおしてます。
そして、やっと新しいミッドソールとアウトソールを貼って、最後の出し抜いを縫いだす準備まで来ました。
そして、これも厄介な事に出し抜いはコバのギリギリを走っており、機械で縫う砕けてしまうので、ここもまた手縫いです。
復活。ゴールが見えてきました。
そして、ヒールです。
ここは、イレギュラーはありません。
写真左側の様にザックリ積んで、写真右側の様にガッツリ削って形を作ります。
そして、ヒールとコバの繋がりを意識して一回りぐるりと撫でる様に削り整えて形はしあがりました。靴底を仕上げて。
コバやヒールに蝋を入れて。
磨きあげれば完全復活です。
元々かなりの手仕事が詰まった高価な靴ですので、修理にもそれなりに手仕事を要します。
しかし、ちゃんと元通りに復活します。あわせてコバの張り出しを調整すれば今日でもバリバリ現役で履けますし、逆にここまで手仕事が入った靴を探すのが難しいくらいですね。
以上、今回の修理はオールソール交換¥14800、ミッドソール¥2000、出し抜い¥6000×2=¥12000、コバ調整¥2000合計¥30800です。
修理費用として、結構な額です。
高額修理をどうしようか悩んだら、その当時数十万円出して思い切ってその靴を購入した事を思い出して下さい。
その思い切りを修理にも!
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