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コチラは、ジャランスリワヤの靴です。インドネシアで作られる本格靴です。

素材は欧州の高級靴店でも用いられるカーフが用いられており、製法はビスポークシューズも顔負けのハンドソーンウェルテッド製法です。しかし、価格は手頃で非常にコストパフォーマンスの高い靴です。
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しかし、この靴にも弱点はあります。

先ず、出し縫いの弱さです。出し糸が擦り切れると必ずと言っていい程、糸がほどけてきます。
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原因は出し糸にあります。写真左が元の糸。右が修理で使っている糸です。
素材も太さも異なります。オリジナルは細いナイロンの糸です。そして、修理に用いている糸は太い麻糸にチャン(松脂)を浸透させた糸です。ナイロンの糸自体は引っぱりには強いのですが、擦り切れやすく、チャンが入っていないため擦り切れてしまうと、滑って簡単に解けてしまいます。
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そして、ソールの耐久性はイマイチで、すり減りが早いです。雨の日に履くとあっという間に穴が開きます。
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そして中に詰めてあるコルクが必ずと言っていい程砕けてぼろぼろになっています。靴底に穴が開いている靴の場合は、砕け落ちて靴の中が空っぽになって、中底が完全に沈み込んで、サイズが緩くなる原因になっている場合もあります。
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そして、底付けのバランスの悪さです。

ヒールのサイズやコバの出幅やフマズのエグリ等、もう少し意識を持って形作ればより良い靴になります。

以上、弱点の全てはオールソール時に素材やバランスを意識をしながら作業すれば改善できて、仕上がりは欧州の中堅ブランド靴かそれ以上の仕上がりを見込めます。

アンティークシューズにはこの逆で、底付けのバランスやソールの質等は秀逸な物を目にする事がありますが、アッパーの素材が顔料厚塗りで、交換のしようが無い部分が残念と言うパターンもあります。

この事から、価格含めカスタムベースとしては最高の靴と言えるのではないでしょうか?
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と、言う事で先ずは砕け落ち難い板コルクで中物の詰め替えです
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そして、ソールを貼って縫いをかけました。元はフマズより前はオープンチャネルでしたが、ちゃんと1周ヒドゥンチャネルで仕上げます。

そして、この靴の特徴の1つですがフマズ部分のみマッケ縫いになっております。こうする事でフマズをえぐる事ができます。

しかし、元の状態では折角のフマズマッケ縫いですが、フマズのえぐりはイマイチでした。
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その残念なえぐりに修正を加えました。写真左は修正済み。右が修正前です。フマズのえぐりに変化が出たのが御解り頂けますでしょうか?

更に、一番幅の広い部分の見直しをして接地部のコバの形状も修正しております。
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更にコバの出幅もバランス良く整えました。

写真上は修正前。下は修正後。不均一な出幅のコバが、ある程度均一に控え目な出幅のコバになりました。
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そしてこんな感じで仕上がりました。フマズの感じやヒールのサイズの変化で雰囲気も変わったのがお分かりいただけますでしょうか?
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写真上はフマズ部分の修正前。下は修正後です
形状、厚みの変化で側面からの見た目の印象も大きく変わりました。
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横顔の変化ご覧下さい。前出の横顔写真と比較頂くとかなりの変化を感じて頂けるかと思います。
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更にコバ上面にウィールをかけ直して、見た目が引き締まりました。

恐らくこの靴の定価の倍程する靴に引けをとらないワンランクアップの仕上がりになったかと思います。
オールソール価格+¥2000で底付けバランスの再考させて頂きます。

どこか見た目のバランスが悪いなと感じる靴をお持ちの方、オールソールのタイミングで一度ご相談下さい。






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