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2017.05.28
知識が必要なJMウエストンのハントダービーのヒール交換

コチラはJMウエストンのハントダービーです。元々ブーツだった物を足首周りでカットして短靴にした独特のデザインとボリュームのある靴底が特徴ですね。今回は、コチラのヒール交換をご依頼頂きました。

そのヒールはコチラです。このデザインの靴に合ったスチールが取り付けられております。強度は良いけど、実用面を考えると滑る、音が鳴る、足への負担が気になるところです。

そこで、今回はコチラのjrレンデンバッハの革×ゴムのヒールに交換です。

スチールとその上の革の層とで調度新しいヒールと同じ厚みなので、スチールと革を剥がして、新しいヒールを取り付ければおしまいとはいきません。

何故なら、この革良く見るとカカト側から爪先に向けて厚みがだんだん薄くなっているのです。

剥がした革がコチラです。左から右にだんだん薄くなっているのがお分かりかと思います。
この傾斜が非常に大切で、この傾斜がある事でヒールがしっかりと接地していたのです。



ですので今の状態では靴には傾斜が無く、当厚の革が積み上がった状態で、ヒールとソールがしっかりと接地しません。

そこで、靴側に傾斜を作り、靴側だけでは充分な傾斜を作るには極端に削る必要があると判断したため、ヒール側にも少し傾斜をつけて、ヒールもソールもしっかりと接地する様になりました。

ヒールを貼り合わせて、削って形を出すとこの様になりました。ヒールの高さは変わりません。しかし、爪先に向けて傾斜がついている事が確認頂けるかと思います。
単純にヒールの厚みだけで判断して、傾斜の存在を見落としてしまうと、ヒールがしっかりと接地しなくなり、カックン、カックンして非常に履き心地の悪い靴になってしまいます。



最後、色を入れて仕上げをするとこの仕上がりです。靴底にはオリジナルと同パターンで飾り釘を施しております。
見た目も、履き心地も問題ない仕上がりとなりました。
以上、今回の修理は¥3800也。
実はヒール交換は単純な交換作業では無い場合もあり、ヒールを積み上げる知識が必要となります。今回の様な特殊な仕様変更等は特に専門的な知識がある修理店での交換をお勧め致します。
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