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2010.11.11
ビンテージブーツの加水分解した合皮のベロを本革に変える。

久しぶりに履こうと思うと、ベロだけがぼろぼろになってしまっていたそうで、色々と回ったが修理は無理と断られ続けて、当店へたどり着いたビンテージブーツです。
ベロだけ合皮でできていました。合皮のほとんどはポリウレタンです。加水分解といって、空気中の 水分と結合して徐々に劣化が進行します。ですので 全く着用しなくても劣化 は進みます。新品の頃は革に比べ水に強いですが、耐久は革に劣ります。
何故ベロだけが、合皮かと言うとほとんど見えない部分は合皮にする事で、生産コストを下げる事が出来るからです。
ベロの他に、革と思っていたライニング(内側)が合皮だったりします。表は何ともないのに、内だけこの写真の様になった靴を見た事ありませんか?
このブーツは運良くベロのみ合皮だったので交換して、履いてもらえるので修理する事になりました。

先ずベロを根元からさらい取ります。

さらい取ったベロから、型紙をとります。

型紙を元にベロを作りました。ベロの端(灰色のラインから下にかけて)に行くにつれて厚みが0になる様に革を漉いたり、ライニングの張り合わせを工夫したりしています。

色を靴に合わせる様にクリームを入れました。入れる前との違いが見て取れますよね。靴とほぼ同色になりました。

ベロを所定の位置に貼り元のミシンで縫われた穴を拾いながらベロを縫い付ければ、修理した様には見えません。
ナマズひげの様に糸が出ている間が縫った場所です。

こちらが仕上がりです。全く違和感を感じさせませんね。
修理を諦めていた靴でもご相談ください。不思議と靴を前に話をすると何らかの解決策が出たりする物ですよ。正直靴を持って来て貰って、無理ですと断るのは心苦しい物です。何とか力になれる様、色んな引出しを用意して御待ちしております。
今回の修理は¥2500也。
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