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2011.04.09
トニーラマのウェスタンブーツをラットスタイルで修理。

トニーラマのウェスタンブーツです。まだ履きたいので、ダメージがアジになればいいので修理してくださいとお持ち込み頂きました。
こちらは女性物で、色の薄いコンビが素敵ですよね。女性がおしゃれで本格ウェスタンを履いているのを見ると、羨ましく思う時が有ります。男性がウェスタンブーツを履くより、女性が履く方が、俄然おしゃれ度が高いと思うからです。


靴底、カカトはすり減って穴も開いておりますし、カカトはゴムを超えて革まで削れています。

この靴の踏まず部分は縫われておらず、釘で止められています。しかし、部分的に釘も抜けています。

抜けてしまった釘の代わりに木釘を打ちました。これで、鉄釘の様に簡単には抜けません。

カカトは、すり減リ過ぎた部分まで削りヒール底面をフラットにしました。そして、前足部にはハーフソールを貼る前加工をしました。
そして、今回は減り過ぎたカカトを削って底面をフラットにした為、ヒールが若干低くなっています。それを補うために厚みの有るフィリップスヒールを使用します。約8.5ミリの厚みが有ります。それに合わせて、ハーフソールもフィリップスです。グリップ力が有り、履いた瞬間から、革底と違いを実感頂けるかと思います。

そして仕上がりはこの様になりました。お持ち込み頂いた際の写真の爪先を見ても解る様に、先の尖った靴はどうしてもすり減り易いので今回は、segsと言うトゥスチールを装着しました。これで、爪先の減りの心配も無くなりました。

分厚いフィリップスヒールのおかげでカカトも復活です。

最後に、ブラシをかけて汚れを落とし、デリケートクリームと乳化性のクリームを塗り込んで、またブラッシングで新品には無いアジの有る表情へと変身しました。
そして、タイトルにもあるラットスタイルですが、直訳すると「ドブネズミ風」と聞こえは悪いですが、古い物を古いままにアジと捉えて、必要な所はしっかり手を加える仕様です。
古い車やバイクでラットスタイルが稀に見られます。どうしてもボディーの塗装が褪色、塗装割れ、クリアはげ等で艶が無くなったり、錆が浮いて来たり、傷が付いたりもします。しかし、それらのダメージは必要最低限手を加えるだけで、肝心の足回りや心臓部のエンジンをしっかり手を加えて、ホイルやエンジンルームはピカピカだったりします。
どこをとってもぼろだったら、それまでですが、必要部分にしっかりと手を加えると、ダメージがアジに見えてくるから不思議ですね。
車で言うエンジンは靴底に相当し、ホイルはヒールやコバ、ボディーは甲革ですね。靴底、ヒール、コバは今回の修理でしっかりしました。
甲革の落ちる汚れは落としましたが、大きな傷やひび割れは元には戻りません。これに、デリケートクリームや乳化性のクリームを入れる事で、現状を少しでも永く維持できる様になります。これは、車で言うと、錆にサフェーサーを吹き付けた状態に相当するかと思います。
ラットスタイルも一つの靴との付き合い方かなと思います。勿論、その靴の個性を踏まえた上での話ですが。ベントレーやドゥカティのラットスタイルは「?」と思いませんか。しかし、ビートルやハーレーなら有りですよね。
以上、今回の修理は、フィリップスヒール¥2000、フィリップスハーフソール¥2000、SEGSスチール¥700、アッパーメンテナンス¥1500也。
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