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先日ご紹介しましたグレンソンのオールソールですが、出し縫いが終わりヒールの積み上げに入ります。

今回は、お客様よりヒールが滑るのが嫌なので、ヒールには化粧釘を打たないで欲しいと言うリクエストがございました。近年の接着剤の接着力は強力な為、ヒールに釘を打たなくても十分です。

しかし、化粧釘を打たないで欲しいと言うリクエストに昔ながらの隠し化粧と言う手法を使う事にしました。

きっとこの様な機会が無い限りやる事もないだろうし、先人の知恵を紹介するいい機会だとも思いました。
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今回は、トップリフトを含めて4枚積みます。

写真は、1枚目を普通に貼り、そして2枚目を貼った後釘を打ち込んで固定した状態です。
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そして先ほどの釘に朱肉を塗り、その上に革を乗せると釘の位置がマークできます。
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先ほどマークした部分に釘を打ち込んでいきます。裏は剣山の様にトゲトゲです。
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そして、今度は釘の頭と頭を合わせる様に革を貼り合わせました。

剣山の様に飛び出ていた釘の先端をトップリフトの厚みの3分の2程度の長さにカットした状態がこの写真です。
そして、その飛び出た釘にトップリフトを軽く乗せて、写真のまるで囲ってある部分、釘のアタリをつけました。
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そして、釘のアタリに下穴を開けて釘をその穴に入れる様にトップリフトを貼り合わせ、しっかり叩けば釘が効いて、積み上がりです。

この手前の作業で釘の頭と頭を合わせて貼り合わせなかったら無かったら、トップリフトを叩いている時に釘が沈んで、しっかりと釘が効かないので、実は大切な作業でした。

これで積み上がりです。化粧釘は無しです。

では、何故昔は隠し化粧をしたかと言うと、職人が技を競い合っているうちに、いつの間にか生まれたと言う話を聞いた事が有ります。昔のノリは弱く特に横方向からの力に弱かったそうです。だから、最後は釘で止めて横方向から力が加わっても革が横へズレない様にする必要が有ったそうです。それをなんとか釘を使わずに(釘を見せずに)出来ないだろうかと考えた結果生まれた技術なんでしょうね。

また、手間がかかるのでお金になると言う理由から好んで隠し化粧をする職人が多くいて、中には隠し化粧もせず、トップリフトを貼っただけで、隠し化粧ですと言ってお金をだまし取ったと言う話も聞いた事が有ります。

接着剤の進化で今となっては必要の無い技術ですが先人の知恵はすばらしい物です。

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