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一見奇麗なグレンソンの靴ですが、この写真で見てとれるぐらいカカト周りの履き口に大きなダメージが有り、補修にお持ち込み頂きました。
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問題のダメージはこんな感じです。アッパーとライニングの間にビーディングと言われる革を薄く漉いた物を丸めた物が挟み込んでありますが、そのビーディングが破れております。

ビーディングの作り方は幾つか有って、この靴のビーディングは非常に薄く漉いた革の中に細い麻糸を入れて程よい丸みを出しています。

均一な薄さに漉いた革に糸を入れるだけで均等な厚みのビーディングを比較的容易に作る事が出来るメリットと、革の厚みが薄く少し耐久性に欠けるデメリットが有ります。
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履き口を開いて、ビーディングを取り出しました。写真左が取り出したビーディング。右が新しいビーディング用に切り出した革です。
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そしてビーディングを作りました。補修用に作ったビーディングは、革の断面が三角形になる様に漉いて、革を折り合わせた時に三角形の頂点によって、程よいボリュームと丸みが出る様になっています。

この作りの方が、見た目は同じでも革は厚いので耐久性があります。しかし、革の漉きと折り込みに慣れないと、均等な厚みのビーディングを作るのに時間がかかります。
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新しいビーディングを入れ直しましたが、靴を作ったり、修理する人でないと、見た目ぐちゃぐちゃでよくわかりませんよね。
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ライニングを元に戻してやるとこんな感じです。これでビーディングが入って奇麗になった事がわかりますよね。
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そして、また同じミシン穴を拾って縫えばこの通り復活です。靴を修理する人か、作る人が靴を手に取ってじっと見ない限り修理部分を悟られる事はないでしょう。
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これで人前で脱げる靴となりました。履き口の処理の一つとして、手間がかかり、奇麗に見えるのビーディングですが、一度ダメージを受けると履き口が破裂した様な表情で非常にみっともなく見えてしまいます。気になっている方ご相談お待ちしています。

以上、今回のビーディングの交換は¥3000也。



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