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コチラはエドワードグリーンの靴です。

ご覧の様に腰裏(カカト裏)が破れて、御持ち込み頂きました。
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今回の修理では、靴の内側に開いた窓を隠さない様に修理する事を念頭に作業しました。

この窓は、中にモデル名、木型番号、サイズ、名前等を書き込む為の物です。やはり、窓を開けて、革に前記の内容を書き入れ革を入れて縫うので手間がかかります。

折角手間をかけて作った物ですから極力の残したいですよね。

勿論、窓周りにダメージが有るのなら、窓も覆う様に補修しますが、コチラの靴は窓周りは問題ないので窓は隠さない様にギリギリのライン迄革を入れる様します。

写真は穴を覆う為の革で、窓をギリギリのラインで覆う様に切り出しております。
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そして、革を貼って縫った状態が奥です。余分な飛び出した革を切り取ったのが手前です。

これは、修理だけでなく、靴を作るときも同様で、表革より裏革を大きめ取っておいて、縫ってから切ります。こうする事で、内外の革の履き口が奇麗に揃います。

この作業を「さらい」と一部では呼ばれており、以前少しの間仕事をさせてもらった製甲屋(アッパーを専門に縫う会社)で、一日中「さらい」をした経験が有ります。

この作業をすると、一緒に働いていたフィリピン人のおばさんを思い出します。彼女は、日本人の名前を覚えるのが苦手らしく、社長以外は、みんなおじさん、おばさん、お姉ちゃん、お兄ちゃんと呼びます。

そして、私もお兄ちゃんと呼ばれ、彼女が縫い終えたアッパーの要らない糸を切って、「オニイチャン、サライネ。」と延々渡して来て、暫くすると私の手が遅いのに我慢できず、「ワタシサライ、オマエノリ」と「オニイチャン」が「オマエ」に変わり、私の仕事も「さらい」から「ノリ塗り」に変わります。

今となっては良い思い出です。
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そんな、さらいを終えると上の写真の様に、革の断面が白っぽいのでエッジコートをするとご覧の様に違和感無く仕上がります。

そして、窓も残っています。やはり残っていてほしいディテールの一つですね。
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問題の穴も奇麗に覆い隠されました。

今回の様に、カカト裏の破れ補修一つ取っても、修理方法はケースバイケースです。最善の修理方法を提案させて頂きます。どうぞご相談下さい。

以上、今回の修理は¥1500也。









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