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2010.08.07
ヒールのリニューアル


悪天候で履いたらこうなりましたと修理で御持ち込み頂きました。よくよく確認してみると、ヒールを固定するのに釘が1本も使われていませんでした。昨今の糊に、接着力が素晴らしい物がありますが、やはり水には勝てなかったみたいです。また異質の素材(ゴム底に革)どうしを接着しているので、接着力は弱まりますね。
ヒールの状態は見た目には水を吸って膨らみ、乾いて縮んで歪な形になっていましたが、加工する事で全く問題なく使えると判断し、交換するのはトップリフト(地面に接するゴム)のみとしました。

剥がれたヒールとソールに残った糊を剥がし、再度張り合わせて、釘で固定しました。これで、今回の様にヒールが根元から剥がれる事は無いでしょう。そして、新しいトップリフトを貼り、グラインダーで削って形を作り直しました。でこぼこのヒールが新品のヒールに様変わりしました。

裏はこんな感じです。この靴は、他に爪先とライニングの補修も併せてご依頼頂きましたので、引き続き作業を進めます。
私は、生かせる材料は生かし、リーズナブル(合理的)な修理代の提案を心がけています。かなり私感ではありますが、良心的な自動車整備工場の感覚です。
車に不具合が起き持ち込んで、ピンポイントで、パーツを交換すれば直るところを、そのパーツを含むユニットごと交換して、修理代が非常に高くついたって話を聞きませんか?この靴に当てはめて考えるとヒール丸ごと総取っ替えです。こうはなりたくないと日々思っております。
以上、今回の修理は、¥2000(トップリフト交換¥1650含む)です。
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