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こちらは、ウェルトを縫い付けるすくい縫いの作業です。

写真の様に加工した中底の溝からキリを入れて、中底、ライニング、アッパー、ウェルトに穴を開け、全てを一緒に縫います。

かなりの厚みを縫うので糸を引くのにかなりの力が必要です。しっかりと引けていない靴は、履き出して暫くするとウェルトとアッパーの間から糸が見えて来てしまいます。

また、一針一針穴を開けて縫いますが、単純に糸を穴に通して交差させて縫うのではなく、キリで開けた穴の中で糸同士に縒りがかかる様に縫います。

糸には松脂が塗ってあるので、勢い良く糸を引いて摩擦で松脂が溶け、穴の中で糸に縒りがかかり、松脂が冷えて固まり、完全に糸にロックがかかると言う大変理にかなった縫い方です。


その為、何かの拍子にすくい糸が切れてしまっても、簡単にほつれてしまう心配はございません。
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そして、爪先周りは糸を絡げながら縫います。絡げる糸はモカ縫いをした残り糸等と何でも良く、今回はたまたま赤い糸が余っていたので赤糸にしました。結果紅白で新年らしく縁起良くなりましたね。

これは爪先周りに内外径の大きな差が有るので、外側のピッチを一定に縫おうと思うと内側のピッチが細かくなり、強くすくい糸を引きすぎると糸が中底に陥没してしまう事が有るので、それを防ぐ意味と、修理の際に仮にウェルトの交換が必要になった時に外側のすくい糸に切り込みを入れて赤い糸を引くと糸が全て奇麗に取れると言う、2つの意味が有ります。

すくい縫いの縫い方然り、見えない部分ですが、これもまた先人が考えたすばらしい仕事だと思います。
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そして、ウェルトが縫い終わったらカカト周りを絡げ上げるとすくい縫いの完成です。
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縫い上がったら余分な革をカットして、次は中物を詰めてソールを貼付けます。

続きは後日ご紹介致します。お楽しみに。

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