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以前ご注文頂き製作させて頂きましたこちらの靴(詳細)が、爪先の補修の為に里帰りして参りました。

久しぶりに実家へ帰った時に、親が一緒に暮らしていた時より豪華なご飯で迎えてくれたりと言う経験は御座いませんか?私、現在正にその気持ちです。

手塩にかけ作った靴が里帰りしてくれると、思わず必要以上に労りたくなり、ご依頼頂いた修理にも熱が入ります。
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さて問題の爪先ですが、書き出したライン部分にスチールを取り付けます。先ず爪先がすり減ってなくなっている分を足してから、スチールを取り付け、新品時の厚みに戻すのが今回の修理です。
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先ずは、擦り切れてしまっている出し縫いの糸を全て外します。
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そして、革を足しました。革を足す為にRを持った爪先の余分な肉を包丁で削りフラットになった爪先に新しい革を盛りました。
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そして、余分な革を切り回し、更に新品時の厚みになる様に厚みの調整をしました。
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横から見るとこんな感じです。少しわかり難いかもしれませんが、元の厚みの戻っているのがお分かりでしょうか?
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そして、スチールが収まる溝を包丁で作ります。
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そして、先ほど外した出し縫いの縫い直しです。この糸は、この靴を作った時と同じ単糸を同じだけ縒りをかけて作っていますので風合いは全く同じ様に仕上がります。製作者の元で修理する良さの一つです。
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そして、スチールを取り付けて、グラインダーでスチールの形を整えました。
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グラインダーの後は、手仕事で細部を磨き下地が出来ました。
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そして、これも製作時同様の蝋インクで出し糸とコバに着色をしました。
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そして、またまた同様に製作時に使ったコテでアイロンをかければ新品同様に仕上がります。
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仕上がりがこちらです。しっかりとコテがかかり、角が立ちぱりっとした印象に仕上がっております。同素材、同色を同型のコテで、同じ力加減で修理できるのは、この靴のすべてを知った生みの親だけですね。

注文靴のアフターケアは既製靴とは大きな差が御座います。今回の様にその靴を縫った糸が何の糸で、どのような縒りがかかって、どのような力加減で縫われているかと、その他細部迄把握しており、修理に反映させるため、非常に奇麗な仕上がりになります。
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そして、全体がこちらです。納品してから暫く経ちますが、非常に奇麗です。大切に履いて頂いて大変嬉しく思います。

今回の修理を経て、更に大切にして頂けると幸いです。



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