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コチラ9分仕立ての靴の出し縫いが終わった状態です。

9分仕立ては、9分は手仕事、1分は機械仕事という所から来た名称ですが、大きな違いはこの出し縫いを機械で縫うか、手で縫うかです。

しかし、私共は手縫いでも靴作りをしているので、どの様な見せ方をすれば美しくなるかは解っており、逆に9分仕立てだからそれなりの仕上げにする事の方が難しく、仕上がりに違和感を感じてしまいます。

方程式を知っている中学生に、難関私立中学の算数の入学試験を方程式無しで解けと言っている様なものだと思います。
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だから、方程式を知ってしまった私共は、九分仕立てでも方程式(手仕事)を交え仕上げをしております。

今回製作中の靴は3アイレットダービーです。実足長に対して捨て寸(爪先の余裕)は標準的な長さでありながら、錯視を利用してロングノーズなデザインに仕上げております。

羽根の付け根を後方へずらし、履き口も狭く取り、前足部が細長く見える錯覚を狙っております。

それ故、カジュアルと言われる外羽根の靴ですが、少しドレッシーな雰囲気に仕上げるため底付けもそれに合わせて少し演出を加えてやります。

写真は、踏まず部分を華奢に見せるラウンドウェストと言う加工の最中です。踏まずの余分な肉を落とし、深くえぐったセクシーな踏まずを作ります。
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まだ、革を伏せ戻す前ですがアイロンで踏まずをアッパー側にグイグイ寝かしつけております。
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そして、革を伏せ戻し、ヒールを積み上げてからも更にアイロンをかける事で、前足部より薄く見るラウンドウェストとなりました。
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そして、インクを塗って、蝋を入れます。
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そして、磨き上げると艶やかで、踏まずのコバの張出しを感じさせない上品な靴底が仕上がりました。
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最後は、アッパーと一緒にウェルト上面を仕上げるとご覧の様な雰囲気ある横顔を持った靴に仕上がりました。
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ロングノーズと言えばチャラいイメージが有りますが、捨て寸を伸ばしてロングノーズに見せる靴と違い、錯視を利用して作るロングノーズの靴はチャラさを感じさせません。むしろ、クラシックな印象ですね。






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