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2014.07.16
アッパーを作る。

靴の甲革、アッパーの製作ですが、靴の底を縫い付けて行くパワー系の仕事と反して、机・ミシンの上での繊細な作業になります。
先ずは、使う革の傷や汚れ、伸び方向のチェックです。
革には伸び方向が有り、夫々パーツには理想的な伸び方向があるので、伸び方向を合わせて型入れします。

こんな感じでパターンを写して行きます。

そして、更に注意を払う必要がある表革の型入れです。伸び方向を意識しながら、効率よく型を入れるのに頭を悩ませす。
革の良い部位(牛のお尻の背中に近い部位)でも天然素材の為、均一な質ではありません。それ故、虫さされの痕や傷等がある場合も御座います。
かといって、その部分を避けて型入れるすると取り効率が悪くなるため、靴を作る際には必要だけど、製作途中に切り落としてしまう「つり代」と言う部分に入れたり、高度な型入れになると穴飾りの位置に傷を入れて、ポンチで穴を開けると傷が抜け落ちる様にしたり、ステッチに重なって消える様に入れたりもします。
この写真の場合、羽根のパーツを右に寄せて少しキャップのパーツやヴァンプのパーツに重なる様に型入れすることができます。
実際に最終的に靴になって残る部分はキャップの直線のみだからです。後は、先ほどのつり代と言う部分で、多少欠けた所でも問題なく靴を作る事が出来るからです。
こんな工夫をして効率よく型を入れることができた時は、パズルを解いたときの様な快感があります。

そして、型入れしたパーツを裁断です。包丁が入る角度で、切断面の美しさに差が出ます。また、あまりにも下手な裁断ではミシンステッチにも影響が及びます。切断面がそのまま靴になる為、非常に慎重な作業です。


この靴は、穴飾りがあるのでポンチで穴開けです。
ミシンが走る位置を意識しながら穴開けしないと、ステッチが開けた穴に落ちてしまうので注意が必要です。


そして、表革と裏革の間に入るビーディングと言うパーツを貼付けます。世の中には履き口が切りっぱなしの靴は山ほどあります。しかし、手間ではありますが、断ち端の処理はビーディングを入れる事で上品に仕上がります。また、履き口の補強も兼ねております。

そして、ミシンです。靴のデザインに合わせて、糸の太さを選び、糸の太さに合わせて縫いのピッチを決めています。

そして、市切りと言う作業です。
靴の表革と裏革の際は奇麗に揃っていますが、始めから揃えてある訳ではなく、少し大きめに取っておいた裏革とジャストに切り出した表革を貼り合わせ、表革の際にミシンをかけた後に、大きく取っておいた裏革を市切ります。そうする事で、靴の表革と裏革の際は奇麗に揃います。

そして、貼って縫ってを繰り返し、この様に完成です。
次は、さっきまで平面だった革が一気に立体になる吊り込みの作業です。
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